子どもの褒め方、叱り方② 山浦一保(立命館大学スポーツ科学部准教授)
子ども時代から始まる「自分探し」。
キーワードは「居場所」と「距離感」。
指導者あるいは保護者としての大きな役割の一つが、子どもたちが楽しく、またひたむきにスポーツ活動に没頭できる心理的環境を整える、ということ。褒める、叱る、助言する…
その際の物理的・心理的な距離を意識しながら、子どもたちと接していこう。
喜びや楽しさの感情は、その活動の場に自分の居場所・活躍の機会があるからこそ生まれ育つもの。
「見て、見て!」と言える場所があるとき、子どもはそこを拠点に選び、本格的に活動を始める。
ただその一方で、活動の場を広げていくにつれて、一人の子どもが複数の集団に所属し、多彩な人々のなかで生きていくことにもなる。
そのなかで、自分より優れた存在がいることを知り、子どもは自分の大切な居場所・活躍の機会を失った気持ちを経験するかもしれない。
その時こそ、指導者はその子のよさを(あなたの基準でもなく、ほかの子どもとの比較でもなく)「本当にいいよ」と声をかけ、成長の種が消えてしまわないように支えてあげることが大切。
さまざまな集団のなかで、子どもたちは「自分が安心して過ごせる場所」「一番輝けそうな(認めてもらえる)居場所」を探している。
自分の興味は何か、強みは何か、という「自分探し」は子どもなりにすでに始まっている。
人は、年齢にかかわらず成長できる可能性やチャンスを求めている。
いますぐできる『子どもの居場所をつくり、心理的距離を縮める』ための3つのポイント
1.一人ひとり、ひと言ずつでも声をかけよう
子どもたちの姿が今日も指導者の視野にしっかり入っていますか?
「あなたのことをちゃんと見ているよ」ということを子どもたちに伝えましょう。
2.あなたが両手を広げた範囲(距離)のなかで言葉を交わそう
子どもとの物理的な距離は適切ですか?
まずは子どもと物理的に近づいて、あなたやあなたの近くに安心できる空間があることを伝えましょう。
その目安は、両手を広げた範囲です。
3.子どもと同じ目線で話そう
子どもの心が、いまどう揺さぶられているか、あなたは感じ取ろうとしていますか?
その子どもが見ている世界がどんな様子なのか、実際に何が見えて、どう感じたのか…
もしわからなければ、尋ねてみましょう。
きっとあなたに新しい気づきや懐かしさがもたらされるはずです。