下北の神さんからのお誘いで五所川原のプラザマリュウまでやってきました。
シンポジウムの内容はこんな感じ。
1.西北地域県民局長 藤本正雄より開会のあいさつ
・12/10県の基本計画が県議会で承認された。
・2か年の県単事業で、基本計画に沿ったなりわいづくりの具体化の基礎となるものは 「つながり」であることから、この事業をスタート。
2.基調報告 「西北地域の現状と課題、今後の方向性」
講師:㈱日本政策投資銀行 地域振興部課長 大西 達也 氏
課題と可能性を議論し、共通理解を図るため自治体や民間団体からの要請で「地域づくり健康診断」を実施している。
過去に21件の実績(自治体14、民間7)があり、主に西日本が多く、東北6県では今回が初めての実施となった。
★以下、ポイントを列挙する。
(1)所属する銀行内に地域づくり診断チームがあり、データ分析と地元住民からのヒアリングで作成している。
(2)分析手法は
①足もとからの分析
②広域からの分析
③詳細データからの分析
④過去からの分析⑤上空からの分析
<五所川原都市圏のおもな特徴>
①八戸都市圏35万人
②青森都市圏34万人
③弘前都市圏32万人
④五所川原都市圏
・20~40歳の働き盛りが少なく、60歳以上が多い。
・地元定着度
①弘前都市圏
②五所川原都市圏
③青森都市圏
④八戸都市圏
・高卒の県外就職率50%を超えている。
・雇用による転出超過が顕著である。
・20年間で1次産業が半減した。また建設業は5年間で半減した。
・立ちねぷたの成功により、観光客は急激に増加したが、ほとんどが日帰り客である。
<課題>
①雇用の受け皿づくり
(若者が定着しないと将来のビジョンが描けない)
②駅前地区の再生
(駅は人をつなぐ場所、空洞化を解消)
③地域資源の活用
(地物を出す場所づくり、急激に観光地になったから地元の住民が観光客の受け入れ方がわからない)
④新幹線対策
(函館まで伸びるまでに、観光客をつかまないと素通りされる)
<対処法>
①新産業創出による定住促進
②1次産業+地域総合力
(加工・販売方法の工夫)
③地場産業を支える人材づくり
(元気な女性の活用、人がつなぐ観光)
④住民参加
(まちづくりに関わるきっかけを作る。
イベントは金の切れ目が縁の切れ目になる可能性が大きいからダメ、若者がワイワイできる場所づくり)
⑤新幹線対策
(広域連携じゃないと勝てない、八戸から失敗と成功を学ぶ)
<感想>
講師の大西氏は、仕事柄、全国のみならず世界中を飛び回って、地域づくり活動を普及するとともに、地域の情報をデータベース化している。
まずは、地域のことを十分に理解して、分析することが重要であると感じた。
その際も、直接現場に行って五感で感じることが必要であると強く感じた。
五所川原都市圏の課題は、津軽全域に共通していると思うので、当市においても当てはめることができるのではないかと思う。
3.事例発表「つながる絆パーティの取組」
発表者:つながる絆パーティー 幹事 北澤 由美子 氏
(1)県の委託事業をNPO推進青森会議が受託して立ち上げた。
(2)西北地域を選んだのは、豊富な地域資源と立ちねぷたや津軽鉄道サポーターズクラブ、太宰など元気な人・まちづくり団体が多いからである。
(3)現在、3つのプロジェクトを検討している。
①津鉄沿線地域資源活用プロジェクト
②五所川原駅前販売プロジェクト
③農産物加工販売プロジェクト
(4)津鉄沿線地域資源活用プロジェクトにおいては、
新たなお土産品づくりとして、ひばを使った箸・ランプシェード、干しもちを使った携帯ストラップ、津鉄版画カレンダーを作成。
<感想>
人数が適当なのか、メンバーの意識が高いのか、サポートするNPOが上手いのか、要因は様々あると思うが、半年間でお土産品の試作づくりまで進んでいるので、非常にフットワークが軽く、スピード感がある。
4.意見交換「西北地域におけるものづくりの可能性」
参加者
大西達也(日本政策投資銀行)
大谷正樹(ヤフーバリューインサイト)
後藤康孝(青森職業能力開発短期大学)
三上亨(NPO青森推進会議)
進行役 小山内豊彦(県企画政策部参事)
①本物を目指さないと人はこない。
②本物が日常(当たり前)すぎて、気づいていない。
(価値を評価していない)
③産業プレーヤーのノウハウを集めて、つなげて付加価値を高める。
④田舎こそ、時間、コスト、距離をゼロにしたインターネットを活用するべきだ。
⑤「○○ + 観光」の○○に「平川市」や「白岩」、「蔵」、「関所」などのキーワードを入れてヒット数で比較するのも有効だ。(ほとんどの旅行者は旅情報を調べるときは、最初にインターネットで調べるから)
⑥この商品を10万円で売るにはどうしたらいいか?を考える。
⑦ビジネスプランを作れない事業者が多い。
アイディアだけでは勝負にならない。
最終的に誰が対価を払うのか、を考えなくてはいけない。
⑧中国のオークションがとても活気がある。ほとんど日本の物を探している。
⑨いろいろな会社から集まってもらって、リンゴもぎロボットとエコ電気自動車を開発している。
今は会社の枠を超えて仲間になっている。ものづくりを通じて絆ができた。
<感想>
モノづくりに対する視点、角度、幅、深さ、などなど、非常にスケールが大きく、刺激的なディスカッションであった。
このシンポジウムを通じて、地域振興とは「人」、「モノ」、「カネ」、「情報」をつなげていくことなのではないかと感じた。